介護職としての私

特別養護老人ホームかないばら苑、高齢介護 2年目 / 4年目

心掛けているのは、その日、その人に合った介護。
日常の自然の会話の中から、望む生活を引き出したい。

榊原進太郎さん

施設
特別養護老人ホーム かないばら苑
職務
高齢介護
経歴
大学(福祉学科専攻)卒業後、新卒で勤務
現在2年目

この職業を目指したきっかけは?

人の役に立つ仕事がしたいと思っていたところ、母に「介護の仕事はどう?」と勧められて、福祉や介護を学べる大学に進学しました。その後、大学の実習で入居者さんのアセスメントを通じてその人を知ることやケアプランの作成・実施までさせてもらいました。入居者さんの様々な場面を見て、できることを活かしたい、また、望む生活を支援したいと、実習での体験がより強い想いになり、あらためて介護の仕事をしたいと思うようになりました。

今の職場に就いたきっかけは?

大学での実習で最後にお世話になったのが、この「かないばら苑」でした。かないばら苑は、外出企画やグループ企画が多く、また、ボランティアさんの活動もさかんで、毎日が楽しい時間にあふれていました。入居者さんの趣味や楽しみを見つけ、この施設なら望む生活を支援できると考え、決めました。

現在の仕事内容は?

入居者さんの生活全般のサポートです。 勤務時間はシフト制ですが、24時間入居者さんさんの様子を見ることができるので、その時その時のコンディションやその理由を把握することができます。また、勤務時間の違いで発見があったり、気分転換になったりと、時間帯の変わらない常勤より変化があって楽しく感じています。

施設内では様々な委員会を設けていて、自分は排泄委員会に所属しています。入居者さんの排泄リズムを把握し、気持ちよくトイレで排泄できるような検討や、快適なトイレ環境にするため、清潔や、道具の選定など委員で話し合いをしています。

他にも月一回のケアスタッフのグループ会議で、入居者さんのことを話し合い、その方に合ったケアの方法を実践しています。うまくいくこともあれば、改善を必要とされることもありますが、職員間で話し合いを重ね、それをふまえて取り組める環境がある職場です。

仕事で大事にしているのは?

入居者さんへの声掛けを大事にしています。敬語や、ていねいな言葉遣いはもちろんですが、「自分でやろう」とか「楽しい」とか、入居者さんそれぞれにモチベーションが上がるような声掛けを心がけています。

例えばトイレに行く時など、うまくいかない方もいます。そんな時には、一緒に歌を歌いながら心を落ち着かせて「それでは立ちますよ、手すりにつかまりますよ」と誘導したりと…日によって入居者さんの気分も違って、同じ方でもいつもその方法がうまくいくとは限らないので難しいですが、自分がお年寄りの立場だと「会話のない生活はつまらない」という思いもあり、ケアの声掛けだけでない、日常の自然な会話を楽しめるようにしています。

どんな介護を心がけていますか?

入居者さんが自分でできることは、なるべく自分でできるようにするケアを心がけて実施しています。例えば食事の時など、直接食べさせてあげるのではなく、テーブルの高さを調節したり、クッションで姿勢を整えたりするなど、自分で食べられるようにする介助方法です。

このような日々の工夫もあって、お寿司の出前のときに自分からスプーンを持ち、お寿司を口に運ばれ、うれしそうに「おいしい、おいしい」と食べてくれました。そんなふうに「自分でできること」を大事にしたい、自分でできたことの満足感を引き出せるようでありたいと思っています。

仕事とプライベートのバランスはとれていますか?

去年は社会福祉士の資格を取るため、休みの日を勉強に使ってしまって、友達との付き合いも減ってしまいました。そのかいあって資格を取得できたので、今年は余裕をもって一緒に遊びにいくことができています。友達や知り合いに介護や福祉、医療関係が多いので、仕事の話や、時には愚痴も出たりします。同じ介護でも障がいや医療の分野で働く人もいますので、色々な話を違う視点で聞いたり、アドバイスしあうこともあります。

仕事をしていて面白かったことや失敗談は?

パンが好きな入居者さんとパン屋さんに行った時のことです。入居者さんはどれも美味しそうに見えたのか「これも、これも」と6個くらい注文して、「おいしいわ、おいしいわ」と涙目になるほど喜んで食べてくれました。普段からよく食べる方なのでそのまま食べてもらったのですが、後で「ちょっと食べすぎだったんじゃない?」と先輩から注意されてしまいました。でも、店内で商品をご自身でトングを使って取ってくれたり、「自分でできること」をしてくれたことはうれしかったです。

他にもアニマルセラピーで動物と触れ合っている時など、いつもむっつりしている方がにこやかな顔を見せてくださったり、普段と違う表情が見える時など、面白いというより楽しいですね。

今後の目標は?

入居者さんが、その人らしく過ごせて「ここにいて楽しい」と思える生活を提供していきたいです。

特に、体力のない方が少しでもレクリエーションに楽しく参加できるようケアの工夫をしていきます。毎日「楽しい」だけだと疲れてしまうので、休息をとることも大切にしています。

将来は相談の仕事もしたいと思っていて、相談員やケアマネージャーも考えています。

介護の仕事に興味がある人に一言

ぜひ一度現場を見学してみてください。自分も以前は介護がどんな仕事かわからなかったのですが、一度見ると「こういう仕事なんだ」ということがわかって、見学しているうちに仕事のやりがいや楽しみ方もわかってくると思います。

施設の人から

人材育成担当:福井由紀さん

本当に入居者さんのことを考えてくれて、すごく真面目な人です。常に前向きで、まぶしく感じるほどです。まっすぐに「人の役に立ちたい」「お年寄りが好き」「楽しんでもらいたい」という思いがあふれ、入職して2年、一緒に働く仲間からも信頼されているのがわかります。

若い人と触れ合うことそのものをお年寄りは喜んでくれますし、若い人の発想や企画を楽しんでくれます。ベテラン層の職員も、そんな若い世代に触れることで、一緒に成長させてもらっています。先輩職員や、たくさんの出会えるお年寄りからいろんなことを吸収し、経験を積んで、目指したい仕事をしてほしいと思っています。




入居者さんとの触れ合いが何より楽しい!
介護の魅力は相手の立場に立って「○○したい」を創造すること。

野口有希さん

施設
特別養護老人ホーム かないばら苑
職務
高齢介護
経歴
大学(人間地域科学専攻)卒業後、新卒で勤務
現在4年目

今の職場に就いたきっかけは?

福祉系ではなく、教育大学で地域創生や街づくりの分野を勉強していて、その流れで福祉の勉強を始めました。4年の時に生活保護の勉強で、生活保護の方の自立支援を行っているNPO法人を見学し、生活をしていくには、たくさんの不便なことがあると感じました。その方達に寄り添い、福祉サービスを活用しながら、地域で暮らすことを支えたいと思ったことがきっかけで、福祉の道に進むことを考え始めました。

現在の職場を選んだのは?

就職フェアでいくつかの施設が見学の案内をしていたのですが、そこで初めてかないばら苑を知りました。見学してみて、風通しの良い職場の雰囲気と、多くのボランティアの方が出入りしていて地域に開かれている施設だと感じて、ここに決めました。

現在の仕事内容は?

入居者さんの食事、排泄、入浴など、日常生活すべてに関わっています。また、今年の新卒採用で入った職員の指導係もしています。指導といっても、技術的なことも教えますが、話を聞いて、悩みの相談を受けたりすることです。

現在4年目ですが、かないばら苑では新人と比較的歳の近い、若い職員が指導を担当するようにしています。そのほうが、新人が困ったり、悩みやすい点がわかりやすく、話しやすいと思ってのことです。

仕事で大事にしているのは?やりがいを感じる時は?

1年目から居室担当として、入居者さんの生活すべてを担当しています。希望に応じて一緒に外出したりもするのですが、その人の「○○したい」を一緒にやることにやりがいを感じ始めました。

何もしなければ、生活が施設の中だけで完結してしまいます。それだけではなくて外に出たり、誰かを施設に呼んだりして、その人が望む生活がどうやったら実現できるかを大切にし、それがまた楽しく思っています。

でも、自分の担当しているグループの入居者さんの皆さんは要介護度が高く、その望みを本人から聞き出せることは少ないです。ですから、家族の方とお話ししたり、入所する前の様子から考えたりと模索しています。

仕事で専門性を感じる部分は?

専門性とは違いますが、行動をおこすのが早いという点には自信があります。「こんなことをしてみたい」「もっとこうしたらいいんじゃないか?」ということを頭の中で考えるだけではなく、まず一歩を踏み出し、よりよくしていこうと意識しています。

仕事とプライベートのバランスはとれていますか?

仕事が生きがいのようになって、プライベートを忘れることもあります。仕事の楽しさゆえに線引きの難かしさを感じていますが、息抜きで野球観戦に行って応援で声を出して発散しています(笑)。

それと、つい最近結婚したので、結婚式の準備を楽しんでしています。

仕事をしていて面白かったことや失敗談は?

面白いというか、自分の担当グループの入居者さんと一緒にいる時が一番楽しいです。

入居者さんが喜ぶイベントを企画するのも楽しんでいます。今は「芸術の秋」として、いろいろな芸術を一日を通して感じてもらう準備をしています。午前中には、いつものコーヒーをサイフォンでいれ、昭和レトロの喫茶店を感じてもらう工夫や、午後からは音楽大学の学生さんを招き、ミニコンサートを開催し、入居者さんもおしゃれをしてコンサートにお出かけすることを楽しんだり、入居者さんの作品展示会コーナーも作り、いつもとちょっと違った雰囲気を感じてもらおうと思って企画しています。

失敗もいろいろありました。2年目のとき、車いすを押す速度が速いことを2・3回注意されたことをよくおぼえています。せっかちな性格で、あせって雑になってしまうことが多くて失敗していました。今は、ゆとりを持ちながら取り組んでいます。

今後の目標などは?

今、社会福祉士の勉強中で、資格が取れたら相談業務や、施設の外で地域の方と関わる仕事もやっていきたいと思っています。

介護の仕事に興味がある人に一言

シフト制で時間が不規則なことを心配している人もいると思いますが、そんなに大変ではありません。逆に、慣れてしまうと夜勤明けの日とその翌日は休みとなるので、普通の仕事より長く休みが取れるように感じて、プライベートもよりたっぷり楽しめますよ。そこはポジティブに考えています。

施設の人から

人材育成担当:福井由紀さん

福祉以外の分野からの就職ということで心配していたのですが、ガッツがあって行動力に長け、へこたれない強さも持っている人材として頼もしく思っています。また、企画力に富んでいて、内部だけではできないことを、いろんな人材をネットワークを駆使し、調整して実現していく。それが楽しそうなので、こちらも手伝いたくなるという「まきこむ力」も持っています。

現在、働きながら社会福祉士の資格取得に向け、勉強を頑張っている姿をみます。さまざまなことを経験して、相手を思いながら行動・実行できるスキルを身につけ、目標としている「“地域で暮らす”を支えたい」の実現に向け、一緒に歩んでいけたらと思います。

特別養護老人ホーム かないばら苑のご紹介

社会福祉法人 一廣会 かないばら苑

〒215-0023 神奈川県川崎市麻生区片平1430

電話:044-986-1560

ファックス:044-986-4654

http://www.kanaibara.com/

設立:平成6年

定員:98名、ショートステイ12名

かないばら苑は1994年設立。川崎市麻生区、小田急多摩線・栗平駅より徒歩8分。小高い緑の丘に建つピンクの建物が特徴です。麻生区に根ざした特別養護老人ホームとして、地域活性化の実現に向け、様々なイベント(取組)を行い、麻生区を盛り上げています。

ケアの理念“その人らしい暮らしの実現”は施設ケアにとどまらず、地域包括ケア・地域共生社会の実現の基礎となる理念です。地域を面で支えるために入居施設を母体として、通所介護(4事業)・訪問介護・看護・居宅介護支援・地域包括支援センター(2ヶ所)を展開し、切れ目なく支援できるような地域包括ケアを目指しています。

また、暮らしの支援として“音楽あふれる生活”、“小規模ケアを実現するためのグループケア”、“その方の自然な生を受け入れる看取りケア”をご本人・ご家族・職員・ボランティア年間のべ4000人の方々と実践しています。

様々な地域の方々との出会いが、職員一人ひとりの豊かな発想・成長にもつながっています。

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