介護福祉の仕事紹介-現場からの発信

訪問入浴

アースサポート株式会社

https://www.earthsupport.co.jp/(別サイト)(推薦団体:一般社団法人日本在宅介護協会 神奈川県支部)

訪問入浴サービスの内容

訪問入浴サービスは、訪問入浴車でご自宅を訪問し、お部屋の中で入浴していただくサービスです。看護師を含めた専門スタッフ3名がサポートし、利用者は横になったままお風呂に入るため、寝たきりの方や医療の必要性が高い方も、安心して入浴することができます。

アースサポート株式会社の場合、訪問入浴を利用している方は要介護4・5の重度者が約8割を占め、およそ3割の方が医療装置を装着しています。訪問診療や訪問看護を併用する方も多く、医療との連携を大切にしています。

サービスの流れ

  • STEP1ご自宅へ訪問

     訪問入浴車で、オペレーター・ヘルパー・看護師の3名のスッタフが訪問します。

  • STEP2健康状態の確認

     看護師が血圧・体温・脈拍・呼吸数を測り、入浴の可否判断を行います。
     場合によっては、ご家族や主治医に相談します。

  • STEP3入浴の準備

     ポータブル浴槽を室内に搬入後、ホースをつなげて浴槽にお湯を溜めます。
     水はねしないよう、ビニール製のシートを敷きます。寝室以外での入浴も可能です。

  • STEP4浴槽へ移動

     浴槽にお湯が溜まったら、看護師が脱衣をお手伝いします。
     寝たきりの方も負担のない姿勢のままスタッフがサポートしながら、浴槽まで移動します。

  • STEP5入浴

     利用者の身体に最も適した姿勢で、少しずつお湯に浸かるようにします。
     その後、洗髪・洗顔を行い、全身を洗います。お湯の温度や量は、お好みに合わせて調整します。

  • STEP6健康状態の確認

     しっかりと温まっていただいた後、お湯から上がります。
     十分な安静を保った後、看護師が血圧・体温・脈拍・呼吸数を測り、体調に変化がないことを確認します。

  • STEP7片付け

     使用した機材の洗浄・消毒を行った後、搬出します。
     到着から片付けまで、約40分です。

どのような職種の人が働いているか

(1)介護職員(オペレーター、ヘルパー)
資格要件:なし

(2)看護職員
資格要件:正看護師、准看護師

訪問入浴サービスは、介護に関する資格がなくても働くことができる仕事です。看護師が同行するので、介護や医療の知識に不安がある方も、働きながら学ぶことができます。

オペレーターは、1日のサービス提供の責任者として工程管理、利用者の調整、訪問入浴車の運転を行います。ヘルパーは、入浴室の温度・湿度確認や湯温の調整など、心地よく入浴していただけるよう、環境を整えます。

看護職員は、利用者の体調を確認しながら安全に入浴が行えるようサポートします。チームで協力しながらサービスを提供するため、初めて介護の仕事に就く方でも、安心して働くことができます。

1日の主な仕事の流れ

8:30
出勤
  • 利用者の情報と訪問コースを確認。車両や備品の点検、準備をして出発。
9:00
利用者宅を訪問し、入浴を提供(午前3~4件)
12:00
昼食・休憩
13:00
利用者宅を訪問し、入浴を提供(午後3~4件)
17:00
拠点へ戻り内勤
  • サービス記録の確認。物品片付け、車両・備品のメンテナンス、翌日の工程確認。
18:00
退勤

訪問入浴サービスの魅力

訪問入浴サービスの魅力として、「清潔の保持」「定期的な全身観察」「身体状況の改善」「生活意欲の向上」「介護の負担軽減」等が、挙げられます。以下、利用者から寄せられた喜びのコメントをご紹介します(アースサポート株式会社2021年7月 顧客満足度調査抜粋)。

※下の見出しをクリックすると、コメントを見ることができます。

清潔の保持、定期的な全身観察、身体状況の改善
  • ずっと入院しており、入浴させてあげたかったので本当にありがたいです。肌のカサカサも綺麗になり、良かったです。背中などの皮膚異常のチェックにもなっています。
  • どこかが赤くなっていたお尻が、今はとても綺麗です。父は、いつもお風呂に入ることを楽しみにしています。
  • 褥瘡や火傷ができた際、看護師さんの処置が良いのか、治癒できてありがたいです。
  • 訪問入浴で身体を動かし、刺激になることで、身体の活性化に繋がっていると思います。
  • 意識がない中でも、入浴を終えると表情が変わります。訪問入浴の効果だと感じています。
生活意欲の向上
  • 楽しみながら入浴させてもらっていますし、入浴中に笑う母親の姿を見ることができ、嬉しく思っています。今日も、訪問入浴が来てくれることを待ち遠しくしています。
  • どのスタッフさんも皆笑顔で、母も毎回「気持ちいい~」「サッパリした~」と喜んでいます。外出もできず、人生の喜びを与えてくれる皆さま、ありがとうございます。
  • 利用開始から2カ月弱。当初訪問入浴に抵抗していた母が、数回してから楽しみにするようになりました。看護師さんから、「訪問入浴により、生活の質(QOL)があがります」とアドバイスを受けた通りでした。
  • いつ、誰が来てくれても、皆さん優しく声かけをしてくれます。皆さんが帰った後の母の気持ち良さそうな顔を見ると、すべてが分かる気がします。いつもありがとう。
介護者の負担軽減、心の支え
  • 本来の入浴効果はもちろん、約1時間のスタッフさんとの交流を本人も家族もとても楽しく思っています。感謝の一言です。スタッフの皆さんに、元気づけられています。
  • 入浴した時の幸せそうな笑顔、笑い声がして、本人はもちろん介護をしている私にとっても、毎回楽しみなひと時になっています。このひと時が、ずーっと続いてくれることを願っています。
  • 在宅サービスの中で、訪問入浴が一番大変だと思います。でも、スタッフ皆さん、いつも笑顔で接してくれ、家で入浴することができない私たちにとっては、本当にありがたいのです。これからも、どうか宜しくお願いします。
  • 母の状態が悪く、いつ何があってもおかしくない状況の中、遠くに住んでいる姉妹が様子を見に来てくれることがありました。そんな時に、私の姉妹に対しても優しく、気遣いのある言葉をかけてくれました。心から寄添ってくれていると感じましたし、いつも心配なことをすぐに相談できるので、助かります。お風呂が大好きなので、母もとても喜んでいます。

感動エピソードのご紹介

最後までお風呂にいれてあげたい!ターミナル期への対応

癌末期、医師から余命を告げられた利用者の新規依頼を受け、お亡くなりになる前日を含めた3回、訪問入浴を提供しました。

事前調査で、ご家族から「訪問入浴を依頼する前日まで、自宅のお風呂で入浴していた」という話を伺い、私たちはとても驚きました。ご本人は、とてもお風呂が大好きな方で、体力が衰えていく中、お風呂まで廊下を這って進み、ご家族に手伝ってもらいながら入浴されていたそうです。家族介護の限界を感じながらも、「本人の想いを最後まで実現してあげたい」というご家族の願いを受け、訪問入浴の導入が決まりました。

私たちは、利用者の命が残りわずかであることを踏まえ、ご本人の望むこととご家族の想いを汲み取りながらケアに当たることをチームで共有し、覚悟をもって訪問することを決めました。そして、万が一の時のことを考え、1日の最後の時間枠で訪問することにしました。

訪問1回目、入浴前のバイタルチェックを行うと、血圧は100程度でいつもより低めでした。幸い、ご本人とコミュニケーションを取ることができたので、一番洗って欲しいところを伺うと、「頭を洗って欲しい」とのこと。たっぷりの泡で優しく洗い、たっぷりのお湯でゆったりと丁寧にすすぐ。私たちにできることは、ご本人の気持ちに寄り添い、気持ち良いと感じていただくこと。一生懸命に真心を込めて頭を洗いました。他の部位は、ご家族が実施。入浴後、コップにビールを少しそそぎ、脱脂綿で唇に湿らせて差し上げると、『うまいなぁ~』と一言。

翌日、「連日になってしまうけれども、残りわずかだから、何とか入浴させてあげたい」と、ご家族から連絡をいただき、急遽、工程を調整し、2回目の訪問となりました。心身状態は落ち着いているものの、前日よりも血圧が低下。その場で、主治医に確認すると、「ご本人の希望に沿って欲しい」という指示をいただき、入浴を実施しました。この日は、ご家族と親族が10人ほど集まり、皆で浴槽を囲みながら、和気あいあいとした雰囲気の中での入浴。湯船につかったのは2~3分と短い時間でしたが、優しい笑顔とお客様を大切に想う気持ちが溢れる、とても幸せな時間でした。

数日後、主治医より「今日が山場」と連絡を受け、3回目の訪問へ。入浴車の中で、入浴中に急変の可能性があるということをチームで共有し、万が一の時の対応について確認し合いました。利用者宅に訪問すると、泣いている奥様に「いつも通り体を洗ってください。最後の瞬間まで、立ち会うことが大切だと思いますから。」と看護師が励まし、利用者のバイタルを測り始めました。この日は、ご家族と親族の全員が涙を浮かべながらの入浴でした。「意識がもうろうとしていても、ご本人は最後まで聞こえているので、いつも通り、楽しく振る舞いましょう」と声をかけ、皆で精一杯、楽しい雰囲気を作りました。全員がお客様のお体を優しく触り、いつも通りに入浴は終了。その日の夜、静かに息を引き取られました。

後日、奥様が事務所を訪問され、「初七日が終わったので、挨拶に来ました。本当にありがとうございました。この3日間は本人の想いを叶えてあげたかったけれども、とても心細かったのです。入浴スタッフの皆様がいてくれたおかげで、大変心強かった。最後まで、本人の想いを叶えることができたことが、何よりも嬉しかったです。正直なところ、振り返ると様々な後悔はあるものの、最後にお風呂に入れてあげることができ、悔いがなくなりました。」と、話されていました。

この経験を通じて、「命のはかなさ」「家族の想いを支えることの意義」「残された人に悔いを残してほしくない」など、色々なことを考える機会を頂いたと思っています。たかがお風呂。されどお風呂。訪問入浴は、人生の最後に寄り添うことができる素敵な仕事だと改めて感じ、今も私が働き続ける原動力となりました。

職員からのメッセージ

人と関わることで自分も成長できる、やりがいのある仕事です!

一つとして同じ現場がなく、さまざまな利用者と接する仕事は、とてもやりがいがあります。人と関わることで自分も成長できる、素敵な仕事だと思っています。介護業界で働くことは自分には難しい、不安を感じる人もいるかもしれません。

訪問入浴では、教育体制やフォロー体制が充実しているので、未経験の方も安心して業務に取り組めます。介護業界で働くきっかけは何でもいい。ぜひ新しいことに挑戦してほしいです。

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