介護職としての私

特別養護老人ホーム縁JOY、高齢介護 6年目

 新型コロナウイルス感染拡大対策により、実習などで介護・福祉の現場に足を運ぶことが難しい高校生や教育に携わる関係者に今の現場の状況などを知っていただくため、「介護・福祉分野と教育現場をつなぐ」をテーマに、介護現場で活躍する若手職員の声をお届けします。
 今回は、介護職員として6年目を迎え、ユニットリーダーを勤めている特別養護老人ホーム縁JOYの山口信介さんにお話を伺いました。

高齢介護6年目

「自分は介護職員だ」と自覚した3年目の覚醒。
負けず嫌いで成長し、ユニットリーダーとして踏み出す。

山口 信介さん

施設
特別養護老人ホーム縁JOY
職務
高齢介護、ユニットリーダー
経歴
高校卒業後入職、現在6年目
介護福祉士

現在の担当業務や役割などについてお聞かせください

 現場の仕事はシフト制です。早番、日勤、遅番、夜勤の4つのシフトに分かれており、例えば早番なら、朝7時に出勤して利用者さんにごあいさつしながら体調確認、それから朝食や入浴など、皆さんが今まで送ってきた生活を、なるべく継続できるようにお手伝いしています。

 今年度からはユニットリーダーを勤めています。「縁JOY」では4~5人を1つのユニットとして利用者さん10人を担当していますが、各々の担当業務や環境整備のチェック、メンバーの勤務シフトや休暇の調整などをする役割を担っています。

新しい役割が期待されているのですね

 ユニットリーダーを勤めながら、施設内の季節の行事委員を担当しており、最近では秋祭りを担当しました。
 地域の子どもたちを呼んで開催する予定でしたが、コロナ禍の影響で今年は施設内だけで実施することになってしまい残念です。

施設の出入口に設置された秋祭りの展示、地元小学校の画展

6年目を迎え、自分の中で意識しているテーマは?

 今は職員のシフトの調整だけでも精いっぱいですが、ユニットリーダーとして、メンバーの管理ができるようになることです。
 自分は一番年下なので、メンバーをまとめるという役目には正直萎縮してしまう部分もありますが、一方で近い歳の職員には負けたくないという部分もあります。
 メンバーの得意な能力をのばし、苦手な部分は少しずつ克服して、全体を上手く回していく。そして年間目標の達成をしていきたいと思っています。

施設長の池永ひとみさんから

 ユニットリーダーには、人事考課で最初に評価をつける役目もあります。
 もちろん最初は上司の指導もありますが、普段は同僚として働く相手の評価をすることは緊張するでしょう。それが最終結果になるわけではないですから、そんなに重責を感じる必要はないのです。

後輩・先輩職員との関係はどうですか?

 今年度に入った高卒の後輩が、自分の新入時より全然しっかりしていてショックです。自分は本当にふがいなかったので…それが先輩たちのおかげで変われたと思っています。
 自分が変わったと思ったのは3年目でした。職場内異動した先で、歳の近い先輩のしっかりした仕事ぶりに感銘を受けました。
 また、そこのユニットリーダーが雰囲気づくりをしてくれたこともあって、仕事が好きになり「頑張らなくては」とやる気を引き出してもらえたと感じています。その時のリーダーの力を本当に尊敬します。
 今は、これまで自分が学んできたこと、先輩方に教えていただいたことを後輩やユニットの職員に伝えることで、自身の成長も体感することができています。

3年目が転機だったのですね

 「自分は介護職員だ」と自覚したのもその頃でした。カンファレンスなどで意見を言っても取り上げられなかったり、先輩の意見などに沿って支援の方針が決まったりする。自分が一番、直接その利用者さんを見ているのに、自分に力がないからだと思うと悔しくて。負けず嫌いなところもあって、そこから努力を始めました。

 介護福祉士の資格を取得したのもその年度で、やはり人に言われるのが悔しかったからです。施設長にも試験の過去問題を組み合わせて、翌日提出する宿題を作ってもらうなど助けていただいたり。そのおかげもあって合格しましたが、正直ギリギリでした。

この仕事を目指したきっかけは?

 高校進学時に、授業で資格を取れるところを探したのですが、中でも人にたずさわる仕事がいいと思って福祉のクラス、介護科を選びました。
 2年生の時の授業で、当時ホームヘルパー2級の養成研修を受けたのですが、その経験と講師の方の話に感銘を受けて、介護の仕事を面白そうだと思いました。その後、実習で縁JOYにお世話になった時も、職員さんの指導のおかげで介護の仕事の楽しさを知ることができました。
 高卒で入職した当時を振り返ると、後から入ってきた方もみんな年上、経験年数も上で自信にあふれた人ばかりで、周囲の目が怖くて恐縮してしまうことがありました。
 しかし、それが悔しくて頑張り、資格も取った今は「自分はこれだけやってきた」という自信が出てきたので、やりづらさはありません。

将来目指していることはありますか?

 今はユニットリーダーとして、マネジメントができるようになることです。
 それができるようになったら、もう一歩上に、もう一歩上にと成長していって、自分にできる限界のところまで行きたいと思っています。

これから業界に飛び込もうとしている未来の同僚たちにメッセージをお願いします

 仕事は、楽しくするのも、つまらなくするのも自分の気持ち次第だと思います。自分も最初は不安でいっぱいで「ダメかもしれない」と思っていましたが、もっとしっかりやろうと、仕事に向き合った時から楽しくなりました。
 今は自分の努力で利用者さんが楽しそうにしていて、生活が充実していく様子を目の当たりにすること、自分の成長が利用者さんのためになることを楽しく感じています。
 どれだけ学んでも、まだ勉強するところがある。だから介護の仕事は、深いし、楽しい世界です。

施設の人から

施設長:池永 ひとみさん

山口さんと施設長の池永さん

―山口さんについて

 入職当時は自信のなさが目立って、顔色の悪さを心配したほどでしたが、最近は成長が著しく、いい意味で自己主張をできるようになっています。
 夜間にあった入居者さんの急変時に、担当外のユニットであったにも関わらずてきぱきとした発言や行動でリーダーシップを発揮し、責任を持って対応したという報告を聞き、能力を発揮しているのがわかります。経験と勉強がその裏付けになっていますね。
 今は経験を積むべき時ですが、いずれ外部での研修にも行って、どんどん成長していってほしいと思っています。

―施設での実習について

 今般のコロナ禍により、特に高校生が介護現場へ実習、見学に来ることができない状況が続いています。
 利用者さんと職員の安全を守る使命がありますので、外部から人を受け入れることに対して正直怖さはあります。でも、施設としても、職員一人一人、感染防止のためにできることを最大限やっていますので、この状況でも実習生を受け入れ続けていくことは必要だと考えています。仮に、実習中に実習生の体調がすぐれない様子があれば、自分からは声をあげづらいと思うので、受け入れる側の責任として声をかける必要があると考えます。
 実習では、一人の利用者さんとマンツーマンで学ぶこととなり、入職してしまうと、多数の利用者さんを相手にしなければなりませんから、そういう経験はなかなかできません。振り返ってみれば貴重な時間だったと思えますので、是非実習にきてください。

―施設で働きながら学べる環境

 資格取得や研修の機会などはいくらでも提供できます。重要なのは本人の意欲ですので、積極的に興味や希望を話して欲しいですし、話しやすい環境づくりや動機付けのための声かけなどをしていきたいと思っています。
 また、縁JOYを含む社会福祉法人相模福祉村では、障がい者支援施設や保育施設も運営しています。職場をまたいで案内することもできますから、相談してみてください。

特別養護老人ホーム 縁JOYのご紹介

経営主体:社会福祉法人 相模福祉村

〒252-0244 神奈川県相模原市中央区田名7691番地1

電話:042-764-1110

ファックス:042-764-5505

http://fukushimura.or.jp/facilities/enjoy/

開所日:平成20年5月

定員:入所90名、短期入所10名、通所30名

ユニットケアでご利用者に寄り添った介護サービスを提供、短期入所やリハビリを行えるデイサービス、居宅介護支援事業所も併設しています。
喫茶ルーム、ゲートボール場もあり、地域との交流も盛んな開かれた施設です。

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