介護職としての私

訪問介護サービス ほっと・渡邊 みどりさんインタビュー

サービス提供責任者(介護福祉士)

利用者とともにあるサービス
この仕事に向き合う気持ちは、ずっと変わらない。
いままでも、これからも。

渡邊 みどりさん

施設
訪問介護サービス ほっと
職務
ホームヘルパー、サービス提供責任者
経歴
施設での介護職(介護福祉士)がスタート。
出産・育児を経て、上の子どもが2歳半のときに復職。
2014年ほっと設立メンバーで、現在に至る。
22歳の娘と19歳の息子がいます。

長い期間、ホームヘルパーとして働き続けていますが、これまでの仕事に対する気持ちの変化はありましたか?

 働き始めた頃は、ご自宅に行かせてもらって頑張って仕事をする楽しい時間だったような気がします。

 徐々に仕事や利用者さんとのやりとりも覚えて、時間内にやらなければならないことがたくさん見えてきました。「時間内に終えなくてはいけない」という気持ちが強くなり、うまくいかない時代もありました。

 今はそれらの時を経て、自分のペースというより利用者さんのペースに合わせて、その人の思いに気持ちを寄せて接することができるようになりました。自分が何とかしなくてはというより、相手に合わせることの大切さを日々、感じています。

相手と心が通じていると思う瞬間はどんな時ですか?

 利用者さんのサポートで失敗してしまった時、怒られることがあります。でも、その後にそっと声をかけてくれる。その瞬間に日常生活を支える難しさと必要とされていることの両方を感じます。

 利用者さんは生活のリズムや現況の中で、自分が動きやすい、無理のない動線を考えて生活しています。例えば、入浴後の車いすへの移乗の位置が3cmずれただけでも、その人にとっては移乗がいつにも増して困難になります。そういった時に怒られたり指摘されたりします。

 しかしながら、その後の会話ではさっきはこういう理由で言ったとか、はっきり理由は言わなくてもフォローしてくれているなと感じる時があります。

コロナ禍でいままでの活動に変化はありましたか?

 毎週、火曜日に90分訪問しているMさん。既に1年半通っていますが、コロナ禍の前も後も変わらず、週1回、訪問を続けています。ご本人は事故で下半身が動かない状況の方ですが、以前は運転免許を持ち、外出もしていました。昨年、免許を返納し現在はご自宅中心の生活となっています。コロナ禍で手指消毒やマスクを着用して業務を行っていますが、時に「風邪でも引いたのか」と聞かれることもあります。そのくらい、日常にあまり変化はなく継続した時間が流れています。

 利用者さんの中には「変わらず来てくれるよね」と聞かれる方もおりますが、もちろん訪問をとめる気持ちもありませんし、実際にも「変わりません」とお答えしています。私たちの仕事は、利用者さんたちとともにあり、私たちが止まることは利用者さんの生活が止まることにもつながります。こういう状況下だからこそ、誠実に今に向き合っていきたいと考えて支援しています。

この仕事の奥深さ、専門性を感じるのはどんな時ですか?

 訪問介護サービスは究極の利用者本位に基づくサービスだと考えています。利用者さんご自身の家で、ご自身が望む生活の少しだけお手伝いをする、そんな心構えで向き合っています。なので、こちらが専門職としてこんな工夫をしていますというより、利用者さんとの距離感やタイミングで、その時の状況に応じた適切な対応を選択しているといった形です。

 利用者さんが手掛けた建設の仕事のエピソードや車を運転していた頃に訪れた先のきれいな景色などをお話しくださる時があり、そんな時は「今日はきれいに部屋の掃除をする日だったけれど、それよりも話しを聞きたいな、耳を傾けた方がよいな、掃除は次回の訪問にしっかりやろう」とか、「体調のことを考えて、食事の味付けを少し薄くしよう」など、利用者さん自身は気づかないような、細かい部分で実は変化があったりします。

 私自身、これといった特技があるわけではありません。特別なことはできないけれども、何もできないかも知れないけれども、ひとつひとつの場面や仕事には真摯に向き合っていたいと思っています。ご自宅を訪問して、利用者さんとふれあって、自分が感じたことを大切に、自分の中にある仕事への姿勢が変わることによって、利用者さんも変わっていくことがあります。

長く続けていくために大切なことは何ですか?

 いちばんは、仕事から事務所に戻ってきたときに話しができる仲間がいることです。帰ってきて仲間に話しているうちに解決策が見つかったり、私の動きを追認してくれたり、逆に反省させられたり、様々です。同じ仕事をしていて、同じように壁にぶつかったり悩んでいたりする仲間の存在は、継続して仕事をしてこられた原動力になっています。

施設の人から

訪問介護サービスほっと管理者 コッシュ石井美千代さんの話

 この事業所を立ち上げる時、この人しかいないと渡邊さんとチームを組みました。それから、ずっと一緒に歩んできています。人前で話すのはあまり得意な方ではないのですが、経験を積んで、いまはサービス提供責任者として、後輩の話しを丁寧に聞き、助言する立場にもなっています。

 在宅での支援は基本的に1対1での対応となりますので、ある意味、孤独を感じるときもあります。だからこそ、事業所としてチームで関わっていくことを大切にしています。「ほっと」では、お昼には一旦、事務所にみんな戻り一緒に食事をしています。以前のように膝をつきあわせてというのはできませんが、その時間や空間も、事業所のみんなにとっては息抜きやリセットの時間になっているようです。同じ釜の飯ではありませんが、在宅で1人の業務になるからこそ、事業所では1人にはならないように気を付けています。

介護サービスほっとのご紹介

経営主体:有限会社ほっと

秦野市南矢名968-10

電話:0463-77-8070

http://www.love-shower.com/

訪問介護サービスほっと、通所介護サービスほっと(認知症対応型定員10名)などを運営
スタッフの年齢は22歳~78歳と幅広い

“納得のいく人生"を支える。幾つになっても、どんな病気にかかっても、一人の人間として自分らしく、納得の行く人生を歩みたい。たとえ認知症という病気にかかったとしても、願いはみな同じではないでしょうか。
私たちは、そんな当たり前の願いをひとつでも多く支えていきたいと考えています。

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