介護職としての私

湘南希望の郷、障害福祉8年目

 新型コロナウイルス感染拡大予防対策により、実習などで介護・福祉の現場に足を運ぶことが難しい高校生や教育に携わる関係者に今の現場の状況などを知っていただくため、「介護・福祉分野と教育現場をつなぐ」をテーマに、介護現場で活躍する職員の声をお届けします。
 今回は、障害福祉の分野で介護職員として8年目を迎えている湘南希望の郷の杉崎哀稀さんにお話を伺いました。

障害福祉8年目

出会う人々との関係性を大切にしながら、
行き過ぎず、足りな過ぎないサービス提供を探求

杉崎 哀稀さん

施設
湘南希望の郷
職務
生活介護、短期入所
経歴
高校卒業後入職、現在8年目
資格:介護福祉士

現在の担当業務や役割などについてお聞かせください

 身体障がいがある方が利用する「生活介護」「短期入所」での介護が主な業務で、余暇活動の企画、実施等も担当しています。所属する施設内の部・担当で何が課題で、どうしたら利用者、職員にとって良い環境になるかを日々模索しています。

 8年目を迎えた今年度、自分にとって初となる人事異動があり、短期入所を専任する部所から、生活介護も担当する所属になりました。よく分からない人にお願いや相談をしにくいのはどなたでもそうだと思いますので、新しく関わることとなった利用者、職員との関係性の構築に重きを置き、仕事をすることとしました。

後輩・先輩職員との関係はどうですか?

 8年目ではありますが、私の所属には年下の後輩がいません。

 自分より後に入職した職員はいますが、他の事業所などでキャリアを積まれた人たちなので、そういった意味では、実質的には先輩にあたります。日々学ぶことの連続で、何かあったら支えてくれ、励ましてくれる素敵な方々です。

この仕事を目指したきっかけは?

 中学2年生の時の授業で、人生設計をしてみようというものがありました。その時初めて、将来について真剣に考えたんです。自分には何が向いているのか、どんな仕事をしたいのか。その時一番に思いついたのが「人のためになる仕事をしたい」でした。警察官や消防士、医者や裁判官なども頭に浮かびましたが、介護が自分に合うのではないか、目指してみようと考えたのが始まりだったと思います。

 高校生の頃、就職先に悩んでいた時にある先生が「私が知っている良い施設があるから試しに行ってみたら?」と声をかけてくださいました。法人で行っているお祭りにボランティアとして参加したんです。そこで職員、利用者、地域の方々など、皆さんキラキラした笑顔で楽しんでいて「ああここで働きたい」と思ったのがきっかけです。

サービス提供を行う上で大切にしていることは?

 相手が何を望んでいるかを適切にとらえることを大切しています。言葉のニュアンス、表情、視線。相手からのいろいろな情報でこの方は何を望んでいるのだろうと考え、行き過ぎず、足りなすぎないサービス提供を心掛けています。

将来目指していることはありますか?

 「障がい」というものが正しく理解される社会をつくっていきたいです。電車などで、障がいのある方が大きな声を出していて、周りの人がヒソヒソ話している。これが今の日本の現状だと考えます。

 「知らないことには距離を置く」という心理が大きいように感じます。知らなかったことがいざ分かると、それは特別なものではなかったことに気づくという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。障がいがある人への「距離感」も、もしかしたらこれに当てはまるのかもしれません。だから私は、障がいというものが正しく理解されるための活動をしたいと思っています。

これから業界に飛び込もうとしている未来の同僚たちにメッセージをお願いします

 高校の授業で「総合福祉」というものがありました。その授業で福祉とは何かを学び、障がい者体験などを通して、具体的に福祉のイメージをつくることができました。学校や先生には、今の自分の道しるべを一緒に築いてくださり、不安だったあの頃に自分の背中を押してくださったことにとても感謝しています。

 今般のコロナ禍で、高校で福祉・介護を学ぶ生徒の皆さんは、現場で実習、見学することが難しい状況にあると聞いています。

 そのような中で、高校卒業後すぐにこの世界に飛び込むことは、とても勇気が必要だと思います。状況が違いますが、当時は私もそうでした。でも、どんなことでもチャレンジする時はそのような感情と向き合い、それを乗り越えることで成長することができます。福祉という世界に興味を持ったのなら是非、その感情も含めて向き合い、飛び込んでもらいたい。相手を支えながら自分も成長できる素晴らしい仕事です。

施設の人から

課長:岩永 大さん


常に成長しようとしている彼を全力で応援します!

―杉崎さんのこれまでと現在を振り返ると

 杉崎さんは、働きながら勉強し介護福祉士の資格を取得しました。働きながら資格取得を目指すことは、一見して難しいように感じますが、ある意味、実際の介護を体感で学べる機会だったのではないでしょうか。テキストだけではなかなか覚えられず、文書だけ暗記されても実践には結びつかないのが現状。テキストで読んだことが、仕事場で体感できるのは、強みだったと思います。
 その強みを生かせたのは、杉崎さんの積極性とやる気が人一倍強かったから。どの業種も言えることですが、ただ働くだけでは、資格取得につながる実践にはなりません。どんな仕事もどんな困難な事例も積極的に対応し、苦労してきたからこそ、年数経過とともに成長してきたのだと考えます。

湘南希望の郷のご紹介

経営主体:社会福祉法人 光友会

〒252-0825 神奈川県藤沢市獺郷1003

電話:0466-48-4500

ファックス:0466-48-7747

https://www.lfa.jp/office/kibounosato/

開所日:1986年6月

定員:入所60名(短期入所を含む)

施設入所支援:食事、入浴、排泄など、身体介護を必要とする方が生活する場
生活介護:障害当事者が生きがいを持って主体的に取り組める日中の活動を支援する場
短期入所:自宅で一緒に生活する家族などが何かしらのご理由で介護することが難しくなった時に、短期間だけ生活する場
この3つの福祉サービスを展開しています。

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